はじめに
こんにちは、雨宮です。
今回は長野県と新潟を縦に貫く過疎路線、大糸線を乗りつぶしてきました!
JR東日本とJR西日本がそれぞれ管理するこの路線は、余裕の赤字で存続の危機。JR西日本側に至っては区間別営業係数ワースト4位(2019-2021平均)という有様。
それなのになぜか増便!したのがこの大糸線です。果たしてどんな路線なのでしょうか...一緒に見ていきましょう。
大糸線とは
長野県の松本駅から新潟県の糸魚川駅までを結ぶJRのローカル線です。
松本〜南小谷駅までの南半分はJR東日本、南小谷〜糸魚川駅までの北半分はJR西日本が管理しております。南小谷駅そのものは東日本所有です。
上にも書いたとおり、JR西日本では営業係数4295(100円稼ぐのに経費がどれくらい必要かを示した指数、100円より多いと当然赤字)で区間別ワースト4位となっております。そして非電化地域です。
一方のJR東日本でも営業係数は信濃大町~白馬駅で 1116、白馬~南小谷で 3,944(2022年度、JR東日本発表)と悪い値です。しかしこちら側は電化されています。
つまり同じ路線なのに通して走る電車が存在しないのです。
始発:松本駅
さて、今回の出発地点は長野県にある松本駅です。
長野県では2番目に利用者が多いこの駅の隅っこに、大糸線のホームはあります。
そして大糸線までの通路に、これでもかとICカード利用不可の案内が貼られています。すべての駅でSuicaやPASMOが使えると便利なのだけど、利用者があまりに少なくて割に合わないのでしょうね。ICカードが使えるのは人口の多い地域のみ、うっかりタッチ&ゴー!しないよう気を付けましょう。
長い長い通路の先には、青のストライプを持つ電車が待機しておりました。この2両編成が私を南小谷駅まで運んでくれます。2両ってことはまだまだ大丈夫ですね!本番は1両になってからですもんね!
ちなみに鉄道1両当たりの定員は100人から150人程度らしいです。後者はいわゆる通勤電車(全長20mほどのロングシート仕様)のものですね。
車窓を楽しむ:北アルプスに囲まれて
大糸線の車窓は基本的にアルプスの山々と眼下に広がる田んぼです。ひとが居ないから赤字路線なのですが、街中を通る電車では決して見れない光景ですね。
長い路線の途中では、木崎湖や青木湖といった小さな湖の畔を駆け抜けます。駅としては稲生~南神城駅の間ですね。この区間では湖が鏡の如く、アルプスの山々を映し出します。車内からは私を含む乗客のシャッター音が響いていました。
車内の様子:利用者は少なし
車内は見ての通り半クロスシート、造りとしてはこれといった特徴はありません。そして平日の昼間だったこともあり、クロスシート側で乗客全員が収まってしまいました。
赤字路線で利用者も限られるなら、なぜ半クロスシートに?という疑問が湧くのですが、糸魚川市の発表によると、平日土日問わず利用者の8~9割は旅行・観光目的の模様。土日になると大きなザックやスーツケースを持った人で埋まるのかもしれませんね。
そして利用者数のせいか、電車内に広告は殆どありません。写真に写っているのは、北アルプスの展望図とワンマン列車の乗り方のみです。
乗継駅:南小谷駅
山々に感動しつつうたた寝しつつ過ごす事2時間、JR東日本側の終点:南小谷駅に到着しました。周囲に街は見当たらず、あるのは少しの民家のみ。それもそのはず、ここは山のど真ん中なのです。
駅名の横にいるのは長野県PRキャラのアルクマ君。駅によって立ち姿が異なり、登山口のとなる駅では登山をしており、豪雪地帯ではスキーをエンジョイしています。南小谷駅で駅員さんのコスプレをしているのは、終点()で有人駅だからでしょうかね?
電車の皆様とはここでお別れです。ありがとうE127系、此処から先はディーゼル車しか行けない場所です。
ちなみにここまで来たのは、私と家族連れ4人の合計5人のみでした。あまりに寂しい!
南小谷駅内覧ツアー
電車に別れを告げたところで試合は後半戦、残りのJR西日本側にも乗車したいのですが、到着予定時刻は13時57分。先程の電車が13時20分着なので随分と時間が開きます。接続ってものがないのか...
駅員さんから待合室にいるように案内を受けましたが、40分近く同じところにいるのはさすがに暇です。ぐるっと見ていきましょうか。
待合室
まずは駅員さんに言われた待合室、クーラー完備でとても快適です。ニスで艶出しされた木製ベンチだけでなく、何故か畳もあります。控えめに言ってここで住みたくなりますね。
でも住むのは厳禁、右上にしっかり監視カメラがついております。うっかり南小谷駅終点の電車で置いてかれた場合ならここで寝てもいいかもしれませんが、不法侵入したら普通に怒られますね(駅寝は建造物侵入罪に当たるはず)。
改札
有人駅だあ...!南小谷駅の利用者は一日83人(※糸魚川市発表 2019年度実績)なのに有人駅だあ!左上の時刻表がとんでもなくスカスカな気がするけどそれでも有人駅だあ!
無人駅に放りだされた経験を一度でもすると、有人駅のぬくもりをとても感じます。でもここにいる駅員さんは終電後どうやって帰るのだろうか?車で通える範囲に住んでいるのだろうか...。
ちょっとした装飾
駅併設トイレへの廊下
駅舎内
こちらの手作り感あふれる特急あずさは、なんと地元のパン屋さんお手製。調べたら南小谷駅から徒歩五分という近さで異様に評価がいい。寄り道すればよかったなあと、自宅のPC前で思ったり。
同じ後悔を他の人にはしてほしくないので、パン工房 一輪の華の地図を載せておきます。南小谷駅で待ち時間ができた際は是非。
駅の外:びっくりするほど山の中
比較的広くてきれいな駅ですが、中だけでは時間を潰しきれませんでした、なんせ待ち時間40分ですからね。少し暑いですが外に行くことにしました。ここからは駅周辺の紹介です。
観光案内版?
さて、南小谷駅はザ・山の中の駅、周囲に観光案内所のようなものはありません。
代わりにあるのがこちらの立派過ぎる案内板。小谷村を線路に沿って紹介する代物です。簡易地図ですが上が北ではない様子。屋根は合掌造りですかね?
姫川
南小谷駅のすぐ横を流れる川です。元々山脈を流れる国内屈指の急流河川のため氾濫しやすく、さらには大雨の後だからか大きな音をたてる濁流と化しています。普段はもう少しきれいなんでしょうね。
駅舎
最後に駅舎そのものです。
これ本当に赤字路線の中間駅ですか?と言いたくなるくらいにはきれいな駅舎です。内装もきれいでしたが、外装はそれ以上ですね。
JR大糸線増便バス
と、ここで気になるものがありますね。
そうこれ、これこそが超赤字路線なのに増便の正体です。
JR大糸線増便バスは、JR西日本側による施策です。あくまで利用者数増加検証ということで期間限定の臨時便となっております。基本情報は以下の通りです。
- 期間:令和6年6月1日(土)~令和7年3月31日(月)
- 運行区間:白馬駅~糸魚川駅
- 運行本数:1日4往復
たった4往復と思うことなかれ、JR西日本区間(糸魚川駅方面行)は従来たったの1日7便(2024年時点)、そこに4便も追加されたとなれば大増便です。出血大サービスです。
面白いのが始発駅が白馬であること。一応JR東日本の駅なのですが、特別な理由があるんでしょうか。
そしてここで使われるのはちょっと豪華なリムジンバス。修学旅行で一度はお世話になるタイプの車両ですね。スイスイ走ってこれたのか遅延はほとんどなし!まあ数分は誤差なので気にも留めませんが。
利用した正直な感想
さてこの臨時増便バスですが、私が乗車した平日13時57分発の便はとても利用者が少なかったです。南小谷駅の時点で利用者10人以下だったうえに、南小谷~糸魚川駅の間では乗降客数0人でした。さらに通過する駅間にある『頑張ろう大糸線』の看板が哀愁を誘います。人間がいないと頑張る方法が存在しないんだよ...。
そして、南小谷駅の時点で乗車していた人は皆白馬駅から来たのでしょう(白馬~南小谷の営業係数は3944)。それなら白馬~糸魚川駅にて途中下車無しの直通運転にすればよくない?という結論になっちゃいますね。悲しいなあ。
それと、ひとによっては『臨時バスは乗りつぶしの対象外』らしいのですが、私の中ではOKです。JRの切符で利用できる代替手段であれば、それは乗りつぶしと言えるでしょう。
おわりに
鈍行を駆使してJR東日本区間で2時間、JR西日本区間で1時間、乗り換えに約40分と相当時間を要しましたが、鈍行の旅はやはりいいものですね。
今回の記事では大糸線の利用状況データとして、糸魚川市の資料を使わせていただきました。地方の公共交通事情を考える上で大変参考になるので、興味のある方はリンクから飛んで色々読んでみてください。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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