長崎市のバスは難しすぎる
運転できない旅行者にとって、強い味方である路線バスが乗り放題になる一日乗車券。
例えば京都市観光をする場合1100円で地下鉄と4社のバスが一日乗り放題になる1日券が存在する。これさえ買っておけば市内観光にはまず困らないという代物。
一方で長崎市、ここにも路線バスの一日乗車券が存在するが、そもそも長崎市の観光に路線バスは不向きである。宿のオーナーからも長崎電気軌道(路面電車)の利用を強くお勧めされる。その理由を連ねつつ、長崎市の特殊な?バス事情を書いていこう。
なお、この記事を書いた本人は長崎市のバスをとても気に入っている。長崎市のおすすめ観光スポットを聞かれたら『長崎駅前のバス停』と即答できる。
決してdisりたいわけではないのでご理解いただきたい。
- 長崎市のバスは難しすぎる
- 1,長崎市には二つのバス会社があるが、共通の一日乗車券は無し
- 2,経路の多さに対してバス停があまりに少なすぎる
- 3,バス停で数秒しか待ってくれない
- そうはいってもバスは便利で市民の足
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先に...観光情報だけ置いてけって人の為に
長崎市の観光をしたいのであれば、路面電車こと長崎電気軌道だけで大体事足りる。一日乗車券も600円で買えるし、一回の乗車につき均一運賃140円なので4回乗れば元が取れる。しかもアプリをDLすれば事前購入も可能。
車内は混雑しているが次の電車もすぐに来るので一本待てばよい。古い車両(中には昭和20年代の代物も!)がいまだに現役だが、中身はハイテクで空調も快適である。エアコンなくてごめんではないのだ。
稲佐山やペンギン水族館に行きたい人は、その時だけバスに乗ればよい。全バスがICカード対応なので、あらかじめチャージしておこう。
1,長崎市には二つのバス会社があるが、共通の一日乗車券は無し
長崎市を走るバスは主に、『長崎バス』と『長崎県営バス』の二つがある。この二つのバスはある程度車体の色で見分けることが可能である。
ただ問題なのは、GoogleMapを使って経路検索をした時、そのバスがどちらの会社のものか基本的にわからないことである。
しかも長崎市のバス一日乗車券は長崎バス専用であり、長崎県営バスでは使えない。会社が違うので仕方ないのだが、観光客はそんなこと知らない。
その結果、下車時に運転手から指摘されて小銭がないだとか整理券がないだとかで謝り倒す羽目になる(私はなった)。
2,経路の多さに対してバス停があまりに少なすぎる
それなら、バス停を確認して長崎バスの方に行けばいいじゃん?って思うじゃん?
残念、長崎バスと長崎県営バスは主要なバス停を共有しているのだ。
上の写真では、赤白青の看板(標識柱)が長崎バス、青と白の看板が長崎県営バスとなっている。完全に初見〇しだ。
幸いどちらのバスもICカード対応しているので、行き先だけ確認したらさっさと乗ってしまおう。ボケっとしていると普通においていかれるが、長崎市はバスの量がとんでもなく多い。一つの交差点に3台くらいなら当たり前にいるし、山手線を彷彿させる物量である。坂道を歩くのはつらいので次を待とう。
そんな圧倒的バス社会の長崎市だが、交通量に対してバス停が圧倒的に足りていない。
以下の写真は長崎駅前『北部向け』バス停である。稲佐山展望台に行く観光客なら避けては通れないバス停だ。
バス停の長さに対して、バスが多すぎて完全にはみ出している。写真の奥の方も含めると6台のバスが一つのバス停に集合しているのだ。しかも行き先が全部違うこともざらである。詳しくは下リンクの『北部向け』を確認してほしい。少なくとも20系統以上が一つのバス停に集結するのだ。
その結果同じバス停から違う方面向けのバスが同時刻に出発する。
具体例としては、長崎駅前『北部向け』16:06発には『小江原・相川線 小江原ニュータウン ゆき』と『満永線[1]満永 ゆき』がある。
こんなの乗り間違えないほうが珍しい。
左に停まっている3台のバス、車間距離近くない?と思ったあなた。その通りでございます。一番前に座ると運転手が車間距離をかなり詰めているのが判る。下手に前後すると事故になる程度には狭いので、長崎市のバス運転手は特殊な訓練を積んでいるとしか思えなかったり。
3,バス停で数秒しか待ってくれない
さて、数分ごとに(時には同時に)来るバスに対し貧弱すぎるバス停、となれば何が起きるか。そう、各バス停での停車時間が削られるのである。
先ほど挙げた長崎駅前『北部向け』の場合、バスはわんこそばの如く来ては去っていく。
待ち時間が無くていいわね~なんて言っている場合ではない、出発時刻を確認してバス停に行ったら複数のバスがドアを開けているのだ。
どれだっけ?なんてスマホで確認していたらそのバスは走り去ってしまう。停車スペースが無いせいで、乗車降車後は数秒しか待ってくれないのだ。
なんなら長崎市のバスはドアを閉めながら発車するし、停車しながらドアを開ける。発車停車も急だし、普遍的にみんなやる。『扉を閉め安全確認してから発車』なんて悠長なことはできないのだ。
そんなバス事情を理解らせられた乗客は、前方に乗っていた客が去り次第大急ぎで前の座席に移動する。これも一人二人ではなかったので、一種の仕様なのだろう。
そうはいってもバスは便利で市民の足
ここまで長崎市におけるバスのカオスっぷり紹介していったが、高低差が激しく(=平地が少なく)、利用頻度が高いとなればやむを得ないのだろう。
たしかに長崎駅前や市役所上等の中心地には大量のバスが集結し、観光客は置いてきぼりになる。一方、実際に日々利用している方々は『特定の区間しか使わない』からさほど迷わないそう。
町中に坂と階段が存在しエレベーターも設置されるこの市では、短距離であっても徒歩での移動は容易ではない。そのバリアFullっぷりは、車いすの住民があまりいないことからも証明されている(観光施設にはスロープが設置されているが...)。
長崎電気軌道(路面電車)はその性質上故か、主に中心部の平地にて運用されている。電車は坂に弱いので山道を登ることは困難とされている。(地元の方曰く、電気軌道周辺は一等地だとか)
また他地域と比べると駅間の距離が短いようにも思える。
今回ペンギン水族館まで行ったとき(この路線は長崎県営バスのみ)、番所~妙相寺道がやたら短く感じたので調べたところなんと220mしかなかった。他の駅はもう少し離れて設置されていとはいえ、短い距離で停車発車を繰り返すなら各駅での時間は必然的に短くなる。
この記事は長崎バスのものだが、3.4kmや3.5kmの路線区間が存在するのも坂だらけの長崎だからか。
これからも地域の足として活躍していただきたいものである。