島原…かの有名なキリシタン大名の天草四郎や水の都として知られる町。主な観光地としては島原城や武家屋敷があげられる。いわゆる観光施設に興味のない雨宮さんは行かなかったわけだけど。
じゃあ何をしたかって?街歩きだよ街歩き!ローカル線でゆっくり最寄り駅まで向かい、バスを乗り間違えて途中下車し、少し歩いて、名物食べて、またバスに乗る。これで十分でしょ!…といったノリの島原訪問記です。
お城の話とか歴史の話とかマジで殆どないので、そういうのは他のところで読んでね。
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島原駅に行こう~島原鉄道編~
さて、現在公共交通機関だけで長崎から島原に行く方法は一つしかない(2024年1月現在)そう、島原鉄道である。
昔は長崎空港から島原までいけたようだけど、今は存在しない。交通状況というのは日々変わっていくので、過去の旅行記を参考にしすぎるとよくないですね。
↓島原鉄道(バスも運営中)公式より。長崎空港線の全便運休が告知されている。
しかし運転手不足の為かあ。地方だとなかなか給料払えない→人手が増えない→交通機関が脆弱になる⇒不便で人口減る、のループだよねえ。
島原鉄道とは?
諫早~島原港駅をつなぐローカル線。JRや空港シャトルバスでJR諫早駅まで向かうのが基本の乗り方。一時間に数本出ているが、その半分は本諫早駅で止まってしまう。どうにも諫早市の中心地がこちららしい…
また距離毎の料金が高いことでも知られている。例えば東京~小田原間は83.9kmでJR東日本:東海道本線で1520円。一方の島原鉄道の諫早~島原港間は43.2kmで1540円(どちらもきっぷ料金)。運賃の計算方法は会社によって異なるので一様にまとめることはできないが、とりあえず高いのだけはお判りいただけただろう(一部都市の電車が安いだけかも?)
鉄道会社ごとの運賃については、下記サイトがよくまとめられているので訪問してほしい。
島原鉄道の公式サイトはこっち
本諫早止まりの電車を避け、無事乗車する。諫早~島原間で1460円とやはりお高く感じるが、観光中に乗るのであれば問題ない価格設定ではある(通勤で使うには痛いかもしれない…)
外装は派手だけど中身はザ・ローカル鉄道。ボックス席の全一両編成で窓にはカーテンが付いている。乗った印象は『加速感が早い路面電車』。停車駅の放送が、最初のピンポーンから声のエコーのかかり方までバスを彷彿させる。バスと路面電車は近似している。Q.E.D.証明完了。
軽い縦揺れはあるが激しい振動はない。つなぎ目はそれなりにガタンと鳴るが問題ないだろう。
ちなみにこの電車、一両編成ではあるが各ボックス席に二人で乗車する程度には埋まっていた。平日昼間と思えば割といる方では?(比較対象:東北のローカル線)
なお雨宮は二分の一の席取り合戦に敗北した。敗因は『ワンマン後乗前降』の日本語を読めなかったことである。悲しい。
それでも大三東駅の写真を撮ることができたので、そちらをご覧いただきたい。
大三東(おおみさき)は日本で一番海に近い駅と言われている。実際近い。柵に沢山かかっている黄色いハンカチは、硬券入場券と島原観光案内つきで500円とのこと。ローカル鉄道は基本的に鉄道だけでは赤字なので、少しでも補うためグッズ展開や他業種に力を入れているところが多い。黄色いハンカチもその一種だろう。そういったものを見て回るのも旅の醍醐味だと私は思う。
それにしても島原鉄道は海が近い。多比良駅付近ではフェリー港が普通に車内から見えた。
大三東を出ると間もなく島原駅に着く。フェリーターミナルに向かうのであれば、終点の島原港まで行くのが確実ではある。が、折角遠くまで来たのだもの。中心部からゆっくり行きましょう。バスで。
島原で乗ろう~バスがない!~
島原駅は城下町らしいデザインで統一されている。そんな駅の一角にあるバス停もなんだか古めかしい感じだ。きちんと手入れされており鄙びた印象は受けない(さび付いたバス停って哀愁あるよね)
しかし時刻表を見ると、ここが辺境の地であることを思い起こさせる。通院と通学と観光用にかろうじて残している、という印象をバチバチに受け取らざるを得ない…大丈夫なのかこれ?
と、ここで島原鉄道株式会社(島原のバスと鉄道を運営しているぞ)のダイヤ改正をご覧ください。
https://www.shimatetsu.co.jp/infos/detail/?id=580 バスダイヤ改正(2023年4月10日)
https://www.shimatetsu.co.jp/infos/detail/?id=626 バスダイヤ改正(2023年10月1日)
https://www.shimatetsu.co.jp/infos/detail/?id=629 鉄道ダイヤの一時減便
全然大丈夫じゃなかった!!!
過去の記事を見ていくに運転手不足を理由に年々本数を減らしているもよう(鉄道ダイヤの一時削減はもとに戻りました)うーん、地方の公共交通機関はかくも厳しい。東北旅行の際は周囲の店の寂れっぷりから地方の厳しさを味わったが、今度は公共交通機関からわからせられた。
県内には長崎市という40万人の都市が存在するけど、島原市はその10分の一の4万人ほど。
バスの本数も同じく10分の一とかなのではと勝手に推測。実際に調べるのは面倒なのでやらない(長崎市のバスが多すぎるので)
長崎市のバス事情はこちらから!とにかく本数が多すぎて全てがせっかちだ!
と、思うところのある時刻表を眺めていたらバス到来。
次のバスが来なかったら困るのでとりあえず飛び乗る。あっているかわからないけど、きっと大丈夫。そんな遠くに行かない島原港なら経由するでしょ?
と適当なことを考えていたところ、バスが思わぬ方向に曲がったので慌てて下車する。なじみのない町でバスに乗る場合、何をもって乗り間違えたと判断するかは難しい。が、降りてしまったものは仕方ないので少し歩いて昼食としよう。時刻は12時過ぎ、ちょうどいい頃合いだ。
ちなみにこの駅の前は閑静な住宅街だった...気がする。
島原で食べよう~具雑煮(貝じゃないよ)~
島原には天草四郎に由来する郷土料理が存在する。それがこの具雑煮だ。
雑煮というにはあまりに豪勢なこの食べ物は、島原の乱にて兵糧攻めにあった際、餅のほかに山から海まで様々な具材を集めて食べたことに起因するとか。
由来の詳細や提供されている店は以下、島原市公式サイトより確認をしてほしい。
今回は『元祖姫松屋本店』で頂いた。具材は餅、ごぼう、れんこん、白菜、しいたけ、薄切りの卵、高野豆腐、うなぎ、鶏肉、ちくわ、かまぼこ、三つ葉だったはず。汁なみなみなので、少しこぼれているのは御愛嬌。
同店舗の中で一番安い具雑煮(1200円)を選んだのだが、味・量ともに満足のいくものだった。島原に行く際はぜひとも立ち寄ってほしい。ただしこの店は大変混むので時間に余裕を持ち、人数が多い場合は予約をするとよいだろう。あと『貝』ではなく『具』なので注意。私は食べるまで丸い餅を貝だと思い込んでいたし、『貝(かい)雑煮ください』と注文してしまった。他にも同じミスをした客はいると信じたい。
食後の一服と行きたいところだが、昼時ということもあり常に空き待ちの人がいる。こうなると食べ終わり次第さっさと出ていくしかない。交通事情的にもう少し暇つぶしをしたかったが、速やかに席を譲ることにした。
島原を歩こう~広告に思いを馳せて~
『元祖姫松屋本店』を出て少し歩くと、町のシンボル島原城と対面する。歴史に関心を持てれば、旅をより楽しめるのだろうけど、学生時代歴史の成績がボロボロだった人間にそれを求めるのは間違い。記念撮影をしたら次にいこう。
次の目的地は島鉄バス『大手駅』。Google mapからは島原駅に戻り鉄道で島原港駅まで行くルートをお勧めされたが、さすがにそれは味気ない。
大通りをのんびり歩いていると、自衛隊の事務所に遭遇する。この手の事務所というのは人の目を引くために、大きな模型が飾られていたり写真のように目立つポスターが張られていたりとバリエーション豊かで面白い。
近頃旅をしていて気が付いたのは、自衛官募集のポスターは結構貼られていること。大体は鉄道の駅にある。都市部にも存在はするのだろうが、あまりにも人と物が多すぎて小さなポスターの内容まで覚えていられない。
ちなみに左側にいるでかくて白い生き物は『しまばらん』。島原市に行くと割とあちこちで見かける。全裸がデフォだけど、軍服着用verのほうがかわいいと思う。
更に道を歩いてゆくと、開けた場所にたどり着く。信号を渡った先には市役所(真正面の白い建物)と屋根付きのバス停(市役所左下)がある。島原港はこの道路を進んだ先だ。
島原駅から市役所までやってきたが、車が少ないし歩いている人もあまり見かけない。最初に乗ったバスも数人しかいなかったし、やはり人口が少ないのだなと。
大手駅は島原市役所最寄りのバス停だが錆が少々目立つ。島原は海に近い町なので、物がさびるのは仕方ないことなのだろう。時刻表には『市役所正面玄関前(上屋根付側)発のりば』と書かれている。では横断歩道を渡り反対側も見てみよう。
錆により後ろの看板と色が同一化している。なんてことだ・・・なんてことだ・・・
看板の劣化具合が真っ先に目に入るが、次に気になるのは時刻表の注意書き。一部の行き先がどちらのバス停からも運航されているのだ。特に危なそうなのが16:05発の須川港(藤原経由)行き。一本だけ例外的に屋根なしバス停から発車するのに、曜日によっては市役所側から発車するだなんて難しすぎる。平日と土日祝で道路事情ががらりと変わるのだろうか。
市役所側のバス停で待つこと幾ばくか、お目当てのバスがやって来た。
前方の席に着くと運転手募集の広告が目を引く。全国的に運転手不足が叫ばれるこの日頃、大体のバスにこの手の掲示があると思われる。人を集めたいのであれば給与を上げるしかないが、賃金を増やすには需要が少なすぎるのだろう。
こうしてたどり着くのが島原~熊本間を結ぶ港、島原港だ。鉄道を使ってまっすぐ向かうのではなくバスを乗ったり歩いたりするあたり、自分は寄り道が好きな人間なのだろう。状況が許す限り、ゆっくり移動しのんびり過ごす旅をこれからも続けていきたい。
島原港フェリーターミナルからは九商フェリーに乗船した。そちらの記事もぜひ読んでほしい。